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混迷 MIDI インターネットビューカム オトゲー

混迷 MIDI  〜 新標準 MIDI 音源の動向 〜

MIDI プロトコルは、1982年〜1983年にかけて創案され現在に至っている。そして異なる音源で、同じ演奏が出来るように GM プロトコルの概要が定められた。MIDIの規格は、将来の音源機器の進歩をあらかじめ予測して制定された。非常に汎用性・柔軟性を持った規格であるため、GM においては異なるメーカー間の音源でもある程度互換性を持たせることには成功したが、GM の策定後にはそれぞれのメーカーで独自の拡張を施すという状況になっている。MIDI データを広く配布したり、個人の楽しみとして MIDI データを演奏させて聴くといった場合では、MIDI の策定に当初から関ってきたローランド社が長い間主導権を握ってきた。ローランド社は GM から拡張した GS を提唱し、これに対応した音源を開発してきた。その後、ヤマハが開発した XGは、GS よりも更に表現力の豊かさを目指した規格で、これに対応した音源の開発と共に、ウェヴ・ブラウザの MIDI プラグインソフトを無償で配布するなどの戦略を展開し、認知度もかなりアップしてきている。

これに対しローランドは GS を更に拡張した GM2 フォーマットを定め、新たな音源を送り出している。MIDI音源が進歩し、音楽の表現力が高まっていくのは喜ばしいことだが、インターネットを流れる音楽データを単純に楽しみたいユーザにとっては、音源の選択に非常に頭を悩ます状況になっている。この音源の選択には、ビデオデッキのベータかVHSか、といった選択よりも更に複雑な要因が含まれているのである。

では、普通にインターネットやパソコン通信などにアップされている MIDIデータを楽しむためには何を基準に音源を選べばいいか。

現在の標準は GS フォーマットのデータだと言えるだろう。従ってローランドの SC シリーズを選べばいいかというと、実はそうでもない。SC シリーズはヤマハの推奨する XG フォーマットのデータを正しく演奏することができない。しかし、XG 対応音源の多くは GS互換モードを持ち、このモードを使って演奏させることができる。ローランド SC シリーズの音源を使用して作成したデータを完全に再現できるとは言えないが、なるべく広く浅く MIDI 曲を聴きたい向きにはヤマハの音源を選んだほうがいいかもしれない。

一方ローランドは、GM から始まり、これを発展させ GS へと進化を果たし、最新の音源 SC-8850 では、さらに一歩進んだ GM2(GENERALMIDI2)対応と、あくまで標準フォーマットとしての GM −「GENERALMIDI」の一貫した流れを汲んだ楽器作りをしており、こういった姿勢は非常に評価できる。一歩先んじて USB にも対応しており、USB端子を装備したパソコンなら MIDI インターフェイスを新たに購入する必要がないというメリットがある。

音源のみなさん。 各メーカーの思惑が錯綜する
MIDI音源。本流はどこへ向かう?
Jul.2.1999

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