2.中毒
分 類 薬品名 症 状 診 断 治 療
殺虫剤 有機リン剤(クロールピリホス、ダイアジノン、フォスメット、マラチオン、テトラクロールビンホス)及び
カルバメート化合物(メソミル、プロポクスール、カルバリル、ベンジオカルブ、アルジカルブ、カルボフラン)
初期症状:過興奮or低興奮、流涎、顔と眼周囲の筋痙攣
中期症状:おびただしい流涎、気道分泌亢進に伴う反射性咳嗽、流涙、肉趾の発汗増加、背中までの筋痙攣、瞳孔縮小、チアノーゼ

末期:全身の強直性痙攣、呼吸不全

血漿ChE活性が正常の25%以下でChE阻害物質に暴露されたと考えられる 
赤血球AChE活性が正常の40%以下で臨床症状が現れ、10%〜15%で致死的
アトロピン0.2mg/kg iv反復投与、5%重炭酸溶液による胃洗浄、活性炭投与、浣腸
有機リン中毒なら2-PAM 20mg/kg iv(カルバメート中毒にはダメ)
筋の線維束性痙攣−ジフェンヒドラミン4mg/kg 8時間毎 po
全身性アシドーシス−重炭酸Na 初回5mEq/kg、以後1時間以内に10〜20毎に2.5mEq/kg
痙攣発作−ジアゼパム 0.5〜1.5mg/kg iv
有機塩素化合物(DDT、TDE、メトキシクロール、リンデン、クロルデン、トキサフェン、デルドリン、アルドリン、エンドリン 急性暴露−中枢神経系症状(性格の変化、毛を逆立てる、不安、嘔吐と流涎、顔面筋および頸筋の束性攣縮、運動失調、異常姿勢、間欠性ないし強直間代痙攣、繊維束性痙攣状態ないし痙攣発作
慢性暴露−肝、腎障害
  動物の洗浄、胃内洗浄、活性炭投
その他対症療法
痙攣−フェノバール又はジアゼパム
脳浮腫−デキサメタゾン 2mg/kg、マンニトール 1mg/kg
腎機能維持−輸液
ヒ素殺虫剤(ヒ酸鉛、ヒ酸ナトリウム、亜ヒ酸ナトリウム) 急性および亜急性−反復性嘔吐、流涎、強度の腹痛、蠕動亢進、粘液様下痢、運動失調、衰弱、震え、速い微弱な脈拍、正常ないし低体温、虚脱及びショック   胃洗浄
BAL 2.5mg〜5mg/kgを4時間毎に2日間im、その後は回復するまで12時間毎に投与(有効は暴露後36時間以内)
輸液、対症療法、抗生物質、胃腸粘膜保護剤、鎮痛剤
ピレトリン類(ペルメトリン、アレトリン、レスメトリン、テトラメトリン) 流涎、元気消失、震え、嗜眠、運動失調、痙攣、呼吸困難、昏睡   流涎−アトロピン
痙攣−ジアゼパム
ロテノン 嘔吐、下痢、嗜眠、震え、呼吸困難   対症療法
ホウ酸およびホウ酸塩 嘔吐、全身性アシドーシス、腎障害   輸液、対症療法
殺鼠剤 抗凝血性殺鼠剤
第1世代殺鼠剤(ハイドロオキシクマリン類−ワルファリン、クマフリル)(インダンデオン類−ピンドン、ジファシノン、バロン
第2世代殺鼠剤(ハイドロキシクマリン類−プロジファコウム、プロジマオロン
元気消失、嗜眠、蒼白、貧血、衰弱、静脈穿刺部からの出血、鼻出血、皮下出血、強膜、結膜、粘膜の点状出血、腹痛、血便、吐血、体腔内への瀰漫性出血 最初にPIVKAの延長、その後PT、続いてAPTTの延長。PTは、ビタミンK1治療の投与前と投与3時間後を行い、正常に戻っていれば殺鼠剤中毒。 ビタミンK1投与(1〜2mg/kg/dayで2〜3分与、po.かsc.が適する。iv.im.はダメ)
重度出血には輸血(総血液量の20%)を24時間以内に投与
PT測定により動物をモニター。
ストリキニーネ 知覚過敏→外部刺激で惹起される間欠的強直性痙攣→呼吸性仮死→死亡   催吐、胃洗浄、後に瀉下薬。痙攣発作(ジアゼパム2.5〜5mg/kg or ペントバルビタール麻酔or 吸入麻酔)。尿の酸性化(塩化アンモニウム132mg/kg po.)。利尿(5%マンニトール6.6ml/kgを生食水と伴に1時間で投与)。保温、酸素吸入、暗い部屋で安静。
α−ナフチルチオ尿素 数分から数時間以内に嘔吐・流涎、続いて肺浮腫による呼吸困難・湿性ラ音・泡状粘液・呼吸速拍・チアノーゼ。12時間生き延びれば予後は良好。   催吐、胃洗浄、浣腸、利尿剤、ステロイド、軽い鎮静剤投与、酸素吸入。
タリウム     消化管からのタリウム除去、2gのKClを毎日投与、抗生物質。
フルオロ酢酸ナトリウムおよびフルオロアセトアミド     消化管からの毒物除去、痙攣発作にバルビツレート、抗不整脈薬
コリカルシフェロール   血中Ca濃度が正常の1.5〜2倍 輸液、ステロイド、利尿剤、カルシトニン
α−クロラロース      
リン化亜鉛とその誘導体      
赤海葱      
赤リンおよび黄リン      
バルコ      
他の殺鼠剤 4−アミノピリジン      
3−クロロ−p−トルイジン      
エンドリン      
除草剤 ヒ素剤 金属のヒ素を見よ    
フェノキシ酢酸      
トリアジン類      
殺カビ剤 ヘキサクロロベンゼン      
ペンタクロロフェノール      
殺ナメクジ剤 メトアルデヒド      
動物毒 蛇毒      
ミツバチ、スズメバチの刺傷およびアリの咬傷      
クモ、タランチュラおよびサソリの咬傷      
トカゲ毒      
細菌毒 腸毒素      
菌体内毒素      
マイコトキシン      
鎮痛剤 オピエート      
アスピリン      
アセトアミノフェンおよびフェナセチン      
その他の非ステロイド系抗炎症剤      
駆虫薬 イベルメクチン      
ピペラジン      
栄養補給剤 ビタミンA 栄養障害のビタミンA過剰症を見よ    
多価不飽和脂肪酸の過剰      
その他の添加物      
抗真菌剤および抗菌剤 グリセオフルビン      
クロラムフェニコール      
ヨードホルム      
その他の抗菌剤      
金属 ヒ素      
     
水銀      
石油製品および溶剤 ガソリン      
燃料      
油類とグリース      
トルエン、ベンゼンおよびキシレン      
テルペチン      
塩化メチレン      
石油系炭化水素      
フェノール、石炭、木タール誘導体        
有毒ガス        

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